2010-01-01から1年間の記事一覧

Two Lovers

ジェームズ・グレイの日本未公開作『Two Lovers』をDVDで再見。稀代のトリッキー役者ホアキンはここへ来てその神髄を究める。こっそり玄関から出て行く際の彼のコートの取り方、背中越しに片手でフックから外してもう一方の手でキャッチ、それをスムーズかつ…

何も変えてはならない

「音楽は“しっかり”」「映画は“楽しく”」「楽しみましょう!!」 音楽は基本楽しく、だから意識を“しっかり”に。演技(映画)は基本しっかりで、だから意識を“楽しく”なのか。暗闇にうっすらと照らされたジャンヌ・バリバールの白い顔は、ジャン=ルイ・バロー…

美しいひと

フランス映画祭(2009)では『美しい人』というタイトルであったが、DVDでは『美しいひと』と変更になった、クリストフ・オノレの、前から見たかった作品をようやくDVDにて鑑賞。結構この映画は唐突な展開を繰り返していると思う。まさかオットーが成功する…

『あの夏の子供たち』といくつもの言葉たち

1954年の『フレンチ・カンカン』という映画で、ムーラン・ルージュでの踊りの本番直前、男が他の女性にちょっかいを出したことに拗ねた踊り子のニニが楽屋に閉じこもってしまう。そこでルノワールは、経営者のその男(ジャン・ギャバン)にこう言わせる。「…

倫敦から来た男

画面外(物語世界の外)のサウンドと思われていたものが、ぐるりと動くフレームのなかにその演奏する者を映し込む、突如 物語世界の内部の音楽へとリンクする、という演出は、ホウ・シャオシェンの『百年恋歌』で体験したことがある。『倫敦から来た男』にも…

これまでも、これからも

12日午前4時、こんな早い時間にふと目が覚める。まだ外は暗い。 つけっぱなしのパソコンの画面を開いてロメールの訃報を知る。 89歳で2010年にぬっと顔を出し、逝去されたエリック・ロメール。 本名モーリス・シェレール。心よりご冥福をお祈りいたします。…