Private Utopia

珈琲はどうしてこうも世界のノイズをすっきり飛ばしてくれるのだろう。頭痛、朧げな視界、気怠さ、腫れぼったい感じ、そういう朝の免疫機能が働き出す前の調子の悪さ全てを、スキッとクリアにしてくれる。落ち着く。果たしていいのか、悪いのか…。プライベー…

PSHのいない世界

青天の霹靂。 青い。いい写真だ。 かつての東宝映画にギューちゃん(加東大介)がいなかったら、多くの作品が大変なことになるけど。ハリウッドも頭を抱えてるんじゃなかろうか。大きく揺れ動く身体と小刻みに震える金髪が脳裡に浮かぶ。バウスのハル・ハー…

Happy Valentine’s Day. I love you.

http://www.hrc.org/files/assets/resources/Ellen-Page-Remarks.pdfエレン・ペイジのファンとして、 2014年のバレンタインのスピーチの事を忘れません。 動画を見ながら、一挙手一投足を見守るように震える声を聴いた。 Here I am. 大切なことを真摯に人か…

バウス

「お竜さん。雪が綺麗ですね。だがあっしの国の若狭じゃ、冬中この雪に降り込められて、暗い家のなかで暮らしてますよ」 …というわけで『緋牡丹博徒 花札勝負』の健さんと藤純子。 雪、いろいろありますわな。 http://www.cinra.net/news/gallery/43992/0/バ…

工事中

今日はDVDでホセ・ルイス・ゲリンの『工事中』を見た。ほぼフィックス、18ヶ月の撮影で120時間以上のフッテージとあって、いつもの“風”や踊る身体、急激な変動は少なめだが、それだけにラストのカップルがおぶって歩くシーンが実に素晴らしい。最後に光と風…

吹雪

関東の寒さは乾燥も相俟って引き裂かれるような、引きちぎれるような痛い寒さ。北風小僧の寒太郎。なのに今年はわりと雪が降る日が多いのもあって湿気がある。湿度があるほうが何となく暖かい。それでもさすがに気温が下がってくると今度は手袋の先がじんじ…

旅の記録

デザイン:小笠原正勝 http://www.ogasawara-design.jp/anthology/antho-d.html ギリシャの町を 海を 村を 山を 歌い踊ってゆく旅芸人たち エレクトラが オレステスが 旅芸人となって 愛と復讐のドラマに蘇り 現代を記録してゆく 文字を選んで、言葉を選んで…

1月11日

今日は茉莉子さまの誕生日。 台湾料理屋で友達とふたり飲んで、『秋日和』や『秋刀魚の味』の、あの勝ち気で、グイグイと、ズケズケと、攻め/責めてくる茉莉子さま(でも優しい!!)のモノマネを一通りやって、『秋津温泉』だ『エロス+虐殺』だの話をして盛…

You 're not an asshole.

『ソーシャル・ネットワーク』 弁護士二年目マリリン・デルピー役のラシダ・ジョーンズ。 彼女がマークに教えてあげるこの台詞。You 're not an asshole, Mark. あなたは嫌な奴じゃない。 You're just trying so hard to be. そう振る舞ってるだけ。 音源ま…

20 Seconds of Courage

Rotten Tomatoesみて笑ったけど、近年のキャメロン・クロウの評価低いね〜。『エリザベスタウン』なんて評価28%で腐ったトマトだらけ。キルスティン・ダンストがあんなに可愛くてユニークな映画もないのに。“We Bought A Zoo”(邦題:幸せへのキセキ)のエ…

Will you meet me later...

第11回原宿シネマ|花くまゆうさく - ハイスクールを感じる映画たちvol.1 - 『セブンティーン・アゲイン』 原宿シネマで花くまさんも大プッシュしてた『セブンティーン・アゲイン』、私も大好きな映画ですが、この映画の監督さん、バー・スティアーズってフ…

名刀美女丸

『名刀美女丸』(溝口健二/1945年)をDVDで見る。繰り返し刀を打つシーンは、これ劇場でみて大丈夫なのか?と思うほどの閃光で目がチカチカする。『砂漠の鬼将軍』の空爆くらいチカチカする。 ベルさん(撮影時28歳)は着物を縫いながら、くだらぬ心配を問い…

hair cut

今日しか今週休みが取れないとわかったので、午前中に会社で伝票処理して、午後からユーロで『大地の時代』(クラウベル・ローシャ)を。映画の解体、カオス、狂気とは言われているものの、ローシャは極めて冷静、かっちりとした作りの人だと思う。(終わり…

『Petit Tailleur』

ルイ・ガレルの監督作品「小さな仕立て屋」を輸入DVD(Merci!)で。無字幕版ながら、結果そのほうが初見時は良かったんじゃないかと思えるほど。ルイ・ガレル、これ楽しく撮ったんだろうな。ささやかな作風ながら、丹念で、軽快。存分に堪能。長編作が楽しみ…

date

昨日は結局お洗濯中にベランダで融通の利かない台湾リスと喧嘩して大幅に時間が狂ったため、シャブロルに間に合わず…渋谷でオリヴェイラを再び、2本みて、エドガー・ライトをこよなく愛する支配人とビールがぶがぶ、そのまま夜のライズで『スコット・ピルグ…

トスカーナの贋作

いやー染みたね。胸の奥深くに突き刺さる映画だった。 一緒にいることのどうしようもなさ、一緒にいたいことのどうしようもなさ、いないことの、どうしようもなさ。キアロスタミの映画はいつも交渉に継ぐ交渉。世界はどこまでいっても小さな小さなdiscordと…

Two Lovers

ジェームズ・グレイの日本未公開作『Two Lovers』をDVDで再見。稀代のトリッキー役者ホアキンはここへ来てその神髄を究める。こっそり玄関から出て行く際の彼のコートの取り方、背中越しに片手でフックから外してもう一方の手でキャッチ、それをスムーズかつ…

何も変えてはならない

「音楽は“しっかり”」「映画は“楽しく”」「楽しみましょう!!」 音楽は基本楽しく、だから意識を“しっかり”に。演技(映画)は基本しっかりで、だから意識を“楽しく”なのか。暗闇にうっすらと照らされたジャンヌ・バリバールの白い顔は、ジャン=ルイ・バロー…

美しいひと

フランス映画祭(2009)では『美しい人』というタイトルであったが、DVDでは『美しいひと』と変更になった、クリストフ・オノレの、前から見たかった作品をようやくDVDにて鑑賞。結構この映画は唐突な展開を繰り返していると思う。まさかオットーが成功する…

『あの夏の子供たち』といくつもの言葉たち

1954年の『フレンチ・カンカン』という映画で、ムーラン・ルージュでの踊りの本番直前、男が他の女性にちょっかいを出したことに拗ねた踊り子のニニが楽屋に閉じこもってしまう。そこでルノワールは、経営者のその男(ジャン・ギャバン)にこう言わせる。「…

倫敦から来た男

画面外(物語世界の外)のサウンドと思われていたものが、ぐるりと動くフレームのなかにその演奏する者を映し込む、突如 物語世界の内部の音楽へとリンクする、という演出は、ホウ・シャオシェンの『百年恋歌』で体験したことがある。『倫敦から来た男』にも…

これまでも、これからも

12日午前4時、こんな早い時間にふと目が覚める。まだ外は暗い。 つけっぱなしのパソコンの画面を開いてロメールの訃報を知る。 89歳で2010年にぬっと顔を出し、逝去されたエリック・ロメール。 本名モーリス・シェレール。心よりご冥福をお祈りいたします。…

パブリック・エネミーズ

『パブリック・エネミーズ』(2009、マイケル・マン) 地元シネコンにて鑑賞。(かなりネタバレあり) 髭のないジョニー・デップが初々しい。ひょっとすると『アリゾナ・ドリーム』の頃くらい初々しい。基本的に髭を生やしたり帽子をかぶったり化粧をしたり…

愛と希望の街

『愛と希望の街』(1959、大島 渚) 大島渚も59年から監督としてのキャリアをスタートした人だった。50周年である。 これは鳩を売る貧乏な少年と、たまたまそれを買った裕福なお嬢さんのお話。 この映画、何が凄いって群衆がみんな 背中を向いているのだ。…